俳句香
香道志野流とのコラボレーションで、俳句香(俳句を使った組香)を創作し、6月下旬パリでお披露目の聞香会を開催しました。
今回の俳句香のテーマは「雨」。初夏の爽やかなパリで、俳句と香りを使って梅雨時の日本をイメージしてもらうという趣向です。
まずは講演会で、日本の梅雨について、また日本語と風土、俳句について話し、場を移して聞香会となりました。聞香のルールは次の通り。梅雨、緑雨、虎が雨という三つの香りを聞いてもらい、順番を当てるというもの。それぞれの香りには俳句を添えました(落書の顔の大きく梅雨の塀、土器(かわらけ)の闇孕みいる緑雨かな、虎が雨晴れて小磯の夕日かな)。
ちなみに聞香では成績は点数ではつけません。今回は、全て正解だった場合は「虹」(たっぷり雨が降った後で日が射すという意)、一つだけ当たった場合は「白雨」(夕立のことで、ひとときだけ雨が降ったという意)、全て外れた場合は「空梅雨」(全く雨が降らなかったという意)。
また、香名を「思ひ川」(雨が集まって川になることと、セーヌ川への挨拶を込めて)、「橋姫」(川に架かる橋のように、今回の俳句香がフランスと日本文化の架け橋になることを念じて)、そして「千代の友」(このイベントに集ったフランス、日本の人々の縁が末永く続きますようにという願いを込めて)。香名を告げると「ブラボー!」と拍手が起こりました!
さて、ほとんどの参加者が聞香は初体験でしたが、フランス人の正解率の高さには驚きました。さすが香水とワインの国ですね!
セーヌ河畔に建つパリ日本文化会館で、エッフェル塔を眺めながら、雨の日本を偲ぶひととき。俳句も香道も世界に誇る日本の伝統文化ですね。新たな俳句香を携えて、またフランスを訪れたいと思います。
写真:(左)講演の様子(@パリ日本文化会館) (右)和室に移動して聞香