紅葉が盛りの奥湯河原で、第二回「湯河原句会」を行いました。
今回は句会の前に、小川流煎茶六代目家元の小川後楽先生のご指導の下、
煎茶会を催しました。山の紅葉を一枝手折り結界を引いて宿の一室にお茶席を設え、
煎茶の会の始りです。今回は提籃（ていらん）を使っての野遊びふうなお茶席（つまりバスケットを持ってピクニックに行ったような感じ）です。小川流のお茶は一碗にたった８滴。図らずも”紅葉しぐれ”の雫と玉露の滴のイメージが重なり、とても風雅なひとときでした。小川流でお稽古を始めて４年、マユズミ初めてのお点前！
・・・さて、お味はどうだったかなぁ・・・・？
今回は日本一のアルピニスト竹内洋岳さんや音楽家の渡辺俊幸さん、国文学者の高橋世織さん、構想日本の加藤秀樹さん等が初参加。句会もその後の宴もとても盛り上がりました。
各界で活躍する超多忙な皆さんが日常をしばし忘れ、心を開放して煎茶に俳句に温泉に遊んだ一日でした♪
第五回「日本再発見塾」を、岡山県新庄村で開催した。新庄村はかつて出雲街道の宿場町として繁栄し、今も当時の古い町並みとくらしを残している。この人口千人に満たない小さな村を舞台に、現代生活を見つめ直し、あらためて「幸せ」とは何なのかを考える二日間となった。
まず村のお年寄りから昔のくらしを伺った。登壇してくださったおばあさんの一人は、朝四時には起きて「朝な仕事」をし、夜は「夜なべ仕事」をして隠居の身となった今でも、秋には毎年二千個から三千個の干し柿を一人で作るそうだ。最後にインタビュアが一人一人に伺った。「今幸せですか？」。皆少し間を置いて答えた。「まあ何とか…」。
総勢二百名を収容できる宿泊施設が村にないため、参加者、スタッフ、講師は泊めていただくことになった。塾を歓迎するために、村を上げて半年間かけて準備をしてきてくださったという。杉と和紙を使って灯篭(とうろう)をつくり、街道から田んぼの脇の道まで灯(とも)してくれていた。一日目の塾終了後、それぞれの家へと向かう参加者に手作りの明かりが優しい。「ありがたいね…」と口々に参加者たち。どの家も深夜までおしゃべりに花が咲いたようだ。
私がお世話になったお宅では、七十一歳になるお母さんが白い割烹着(かっぽうぎ)姿で迎えてくださった。お母さんは家事や畑仕事をしながら、孫三人の面倒を見ている。ご主人は四年前に心臓の手術中に医療ミスで亡くなられたという。「先生も悪気があってなさったわけではないものね…」いつも笑顔のお母さんが、その話だけはとても寂しそうだった。
翌朝は、お母さんの手料理が炬燵(こたつ)の卓いっぱいに並んだ。米も、味噌(みそ)も野菜もみんなお母さんの手作りだ。さぞや忙しいでしょうと労(ねぎら)うとお母さんは晴れ晴れと笑って言った。「でも作るって楽しいよ！種から芽が出て、形になるんじゃもの！」。
閉講式が終わり、バスの出発の時間になると、参加者を見送りに民泊先の村人たちが次々と駆け付けてくださった。抱き合って別れを惜しむ家族もいる。
名残の紅葉を見上げて思った。果たして私は今幸せだろうか。初日に聞いた村のお年寄りの言葉が思い出された。「まあ何とか…」。背景にそれまでの厳しい生活と幾多の苦難を思わせる重い言葉だ。民泊先のお母さんが苦渋の末夫の死を受け入れたように、お年寄りたちも何かを諦(あきら)めて生きてこられたに違いない。それは厳しい自然を相手に生きてきた人たちだからこその懸命さと強さだ。何でも現金で解決する生活をしている都会人には、諦めることがむずかしくなってきている。人間の欲はきりがないからだ。幸せとは、何かを諦めることで見出せるものなのかもしれない。
柿吊つてだあれもゐない宿場街 黛まどか
＜東京新聞・中日新聞12月28日夕刊掲載「四季折々」より＞
開講式の様子
学生実行委員の挨拶
出雲街道で吟行
街道に風情を添えた灯篭は村人の手作り！
民泊先のお母さんと
二日間司会進行を務めてくださったお二人
料理人野��洋光さんのご指導の下、地元の食材を使ってお母さんたちが腕を揮ってくださいました！
夜の交流会
一日目の夜、民泊先のお宅では深夜まで話に花が咲きました！
翌朝選句の様子（「みんな上手いね！」と茂木健一郎さん）
優秀句発表！
大好評！「平成の歌垣」（上野誠さんと）
新庄村のキャラクター「ひめっ子ちゃん」も歌垣に参加♪
ひめっ子ちゃんもカップリング成立！（歌垣）
二日目の昼食は野外で♪
新庄村特産の「ひめのもち」を搗いてくださいました！
マユズミも餅つきに挑戦！
閉講式では司会（実はマジシャン？）が手品を披露♪（塩野米松さんと）
いよいよお別れです・・・（民泊先の家族が見送りに来てくださいました）
参加者が帰った後は、村の人たちとの新庄の魅力について意見交換しました（村民プログラム）
地元実行委員長の磯田さんと
笹野村長さんのお宅で（右端が村長さん）
無事終わって・・・踊る学生実行委員たち
無事終わって・・・飲む中年たち
ひめっ子ちゃんもお疲れさまでしたぁ〜！！！
日本ユネスコ主催のシンポジウムが横浜で二日間に渡って行われました。テーマは「多文化共生」。私はパネルディスカッションに参加しましたが、パネリストは図らずも女性ばかり。しかも強者揃い。いやいや、控え室から既に侃々諤々、喧々囂々…(@_@)熱い議論が交わされ、大いに盛り上がったのでした！
近頃「共生」という言葉がやたらに目につきますが、多文化や自然との共生は、そんなに簡単なものではないでしょう。なのにあまりにも安易に「共生」という言葉が使われていることを私は危惧しています。一方で、日本における「共生」に関して楽観視しているところがあります。なぜなら古代から日本人は異文化を上手く取り入れてきたからです。先人たちは、異国から仏教を受け入れ、漢字を受け入れ、都づくりを学び、真似をしました。宗教と言葉と都づくり、国にとってこれほど重要なことを短期間におおらかに受け入れたのです。しかも古来の神道などはそのまま残しながら。
自然との共生においても然り。日本人は自然と自己を対等に扱い、一体化していく独自の自然観を持っています。私たちが俳句や手紙、または日常で季節の挨拶を当たり前のようにしているのもその表れでしょう。また、日本人は、自然にも神を見出だしてきました。八百万の神々は一木一草に宿るのです。
こんなことから、私は日本人本来のしなやかさと強かさを取り戻せたら、日本における多文化共生は実現可能だと思っています。違いを尊び合い、認め合う。そのためには自らの身の丈を知ることも必要です。これからも俳句を通して他者(他の命)を尊び、身の丈を確認していきたいと思います。
写真：（左）シンポジウムの様子（大さん橋ホール） （右）パネリストの皆さんと控室にて：右から、南砂氏（読売新聞東京本社編集委員）、リリアン・テルミ・ハタノ氏（甲南女子大学准教授）、マユズミ、サイ・イエングアン氏（オペラ歌手）
9月6日(日)・7日(月)、昨年の「日本再発見塾」の開催地山形県最上町で、地元主催の第二回「日本再発見塾」を行いました。
東京からは黛の他に講師として、作曲家の千住明さん、料理人の神田裕行さんが参加。また地元最上の方の他にも千葉、神奈川、東京から昨年の
参加者が駆けつけてくれ、小規模ながら楽しく充実した二日間となりました。
初日は当時の面影を残す「奥の細道」を5キロ程歩きましたが、渓流の水の清らかさに、都会組はたびたび歓声を上げました。その後芭蕉が泊まった「封人の家」で夏の炉を囲んでの茶話会。昨年、パネルディスカッションに参加してくださったマタギの方や炭焼のお父さんたちも集まってくれました！地元のお母さんたちが漬けたおしんこが美味しかったこと！
夜の宴会(いえいえ意見交換会)も、最上の魅力についてまた地域の活性化について活発に意見が交わされ、活発にお酒も飲み交わされました！
(*^o^)／＼(^-^*)
その後、河原で焚き火をしながらの二次会では、早くも来年の塾の相談。川音を聞き、星を仰ぎながら、夜は更けていきました。
翌日は、朝からアスパラの収穫、岩魚釣り、そして乗馬を楽しみ、最上の自然を全身で満喫してきました！
最上の皆さん、ありがとう！また来年最上でお会いしましょう！
ちなみに今年の「日本再発見塾」は、11月14日（土）・15日（日）、岡山県の新庄村で開催します！リピーターの塾生の方も、初めての方も、ぜひご参加ください！新庄村は出雲街道の宿場町、本当に良いところですよ！もちろん今回も楽しい「歌垣」あり♪「ポニョ茂木さん（茂木健一郎さん）」もいらっしゃいます！詳しくは「日本再発見塾」ホームページをご覧ください。
(左)中山平温泉駅を出発！ (右)今日の行程の確認です
(左)いよいよ芭蕉さんが歩いた道へ (右)昔のままの「奥の細道」
(左)あけび (右)「水がきれいだねぇ！」
(左)橋のない沢は自分たちで石を置いて橋を作ります (右)芭蕉が泊った「封人の家」
(左)「封人の家」で茶話会 (右)分水嶺で。明ちゃんは太平洋、私は日本海、かんちはどっちを選ぶの？！
(左)さあ、宴会・・・じゃなくて意見交換会がはじまるぞ〜！ (右)講師の意見に真剣に耳を傾ける地元の皆さん
(左)地酒も料理も美味しいです♪ (右)翌朝そば畑で
(左)岩魚釣りに挑戦 (右)釣れてこの笑顔！
(左)釣ったらいただきます♪ (右)いろいろな岩魚料理をいただきました！
(左)山形と言えば「芋煮」 (右)山形と言えば「板そば」
(左)アスパラの収穫にも挑戦 (右)アスパラの実
(左)乗馬にも挑戦 (右)馬だけど名前は「ぽち」お世話になりました！
今年の春、リンボウ先生こと書誌学者の林望さんと、下関へ行って来ました！地元の広報誌「083」の取材のためです。下関が生んだ元祖「旅する女流俳人」田上菊舎の生まれ故郷を訪ねたり、地元の俳句会の皆さんや、俳句の盛んな小学校を訪ねたり…その合間に行く先々で温泉に入って♪リンボウ先生も、素敵な俳句を詠まれましたよ(しかもワタシよりたくさん！(^_^;)
いっぱい歩いて、自然や土地の人と触れ合って、地産の美味しいものをいただいて、温泉に浸かって一句！な〜んて最高の贅沢ですよね♪
詳しくは「083」vol.5(下関情報誌、8月31日発行)をご覧くださーい！
（左）大河内温泉、美人の湯で〜す！ （右）崩れかけた土塀がいい感じです（長府にて）
（左）記念撮影、目隠しの人はカラオケ王で編集長のＦさん （右）菊舎の句碑（功山寺）
（左）菊舎の句碑（徳応寺） （右）長府で見つけたレトロな一角（気分は６０年代♪）
パリ・プロムナードの第二弾です。といっても今回はパリの地下を歩いてきました！
実はパリの地下には蟻の巣状に全長３００ｋｍにも及ぶ地下道が巡らされています。これは古代ローマ時代から地下で採石をしていた跡。地下から掘り出した石は、パリの建造物等に使われました。ノートルダム寺院やサン・ジャック塔もそれらの石が使われているそうです。
地下25メートルまでもぐると、トンネルのような細長い道が迷路のように続いています。懐中電灯で照らしながら奥へ奥へと進んでいくと、なんとなく帰れなくなってしまいそうで不安になってきました・・・。
昔この真っ暗な地下で、わずかな灯をたのみに、一日中手作業で石を切り出していた労働者は、さぞや大変だったことでしょう。地下道の壁面には彼らの苦労が偲ばれる鑿の痕が美しく残っていました。
（左）当時の地下採石場の様子 （右）地下採石場跡
（左）この辺りは１７７７年に掘られたのですね （右）地下は様々な層が積み重なっています
さて、地下道には地上と同じように、道の名前や広場の名前などが記されていて、自分がどの辺りにいるかがわかるようになっています。中には頭上に畑があることや刑務所があることが記されたプレートも。石を切り出した後の空間では、時代によってワインを貯蔵したり、きのこを育てたりしていたそうです。
日頃何気なく歩いているパリの地下が、こんなふうに穴ぼこだらけになっていると思うと不思議です（地上の建物を崩して、パズルのように地下道に戻していったら、パリは空っぽになるのかも？！）。目に見える世界とは、見えていない世界或いは気がついていない世界と裏表にあるのだと、あらため実感した地下プロムナードでした。
（左）地上の場所が地下にいてもわかるよう掲示されています （右）この上には畑があるようですね
（左）フランス王家の紋章のほとんどが、革命時に消されたそうです （右）湧水
（左）地上にむかって掘られた穴 （右）地上に上がってみると・・・（ラスパイユ大通り）
（左）この真下ですよ！ （右）「わ、さっきまでいた地下道が見える！」
そしてお散歩の後は、やっぱり今回も美味しいごはん♪古いビストロに入ると、とっても歌の上手いアコーディオン弾きのマダムがやってきて、店内はにわかに盛り上がりはじめました♫パリには流しの演奏家が多いけれど、こんなに上手い人には滅多に巡り会えません。思わず、大好きなエディット・ピアフの「La vie en rose」をリクエスト！マダムと一緒に歌って、夜は楽しく更けていきました♪
（左）「la vie en rose」をリクエスト♪（５区のビストロにて）
パリジャンの知人に誘われて、日頃あまり足を運んだことのない１３区へ散歩にでかけました。
１３区はかつては労働者の町で、パリ市には属さなかったと言いますが、ゆっくり歩いてみると面白い発見がいっぱい！
まずは、パリで初めてできたという高層ビル。窓が開くようになっていて、とてもユニーク。高層ビルといえども、もはやなつかしいテイストになっていました！
友人に促されて足元を見ると、歩道のあちらこちらに丸い金のマークが。これは、この下を昔の下水道が走っているという印だとか。
パリは１８００年代にジョルジュ・オスマンにより市街の改造計画を推進しました。この都市整備により現在のパリの原型が出来上がりましたが、この時オスマンはパリの上下水道の整備も行いました。パリの下水道は数々の文学作品にも登場します。中でもすぐに思い出されるのが「レ・ミゼラブル」。瀕死のマリユスを背負ったジャン・バルジャンが下水道を逃げるシーンは有名ですね。
プロムナードの仕上げはもちろん美味しい食事！若者が集まる１３区のバスク料理の店で、相席になった学生たちとわいわい騒ぎながら、洗面器のような大皿に盛られたバスク料理に舌鼓を打ったのでした♪
写真：（左）パリで一番最初に建てられた高層ビル（１３区） （右）窓がユニークですね！
写真：（左）１３区の歩道にはあちらこちらにマークが！ （右）この下をかつての地下水道が通っていたそうです