気ままにトーク

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2008年09月30日

泥中の花

フランス・ドイツ共同のテレビ局「arte」の取材を受けました。「arte」は質の高いドキュメンタリー番組を制作することで人気があります。実は私もかねてから「arte」のファンで、フランスに滞在中テレビは「arte」ばかり観ています。そんなわけで、番組に協力することにしました。
今「arte」では、「蓮の花」をテーマに一年をかけてドキュメンタリー番組を制作中。インドやアメリカなど諸外国でさまざまな視点から「蓮の花」を追っています。日本には古代蓮を撮影しにやってきました。そして私には"蓮と日本人"についてのインタビューがありました。ロケ地は鎌倉の鶴岡八幡宮。七月の猛暑の中、蓮池をバックに半日撮影をしました。
監督のフランソワ・ヴィーヴとは、今春パリで会い打ち合わせをしてきましたが、とても真面目な方で、カメラのセッティング中も、食事中も、蓮について日本文化について熱心に質問してきました。
それにしても暑かった今年の夏。フランス人にこの蒸し暑さはさぞやしんどいだろうなぁ・・とクルーを労うと、「僕等はインドのロケで蒸し暑さには慣れたから大丈夫。インドの暑さに比べれば日本は天国!」との返事。皆初めての日本をエンジョイしているようでした。
放送は来年の春以降になるとか。さあ、どんな番組になっているか、楽しみです♪
 
 
写真:(上左)白蓮(源氏池) (上右)蓮の俳句を詠みました (下左)猛暑の鎌倉での撮影 (下右)フランス人クルーと

2008年09月20日

智恵子の空

連載中の読売新聞の取材で、「智恵子抄」で知られる高村智恵子のふるさとを訪ねて、福島県の二本松市へ行ってきました。

 智恵子は東京に空が無いといふ、
 ほんとの空が見たいといふ。
 私は驚いて空を見る。
 桜若葉の間に在るのは、
 切っても切れない
 むかしなじみのきれいな空だ。
 どんよりけむる地平のぼかしは
 うすもも色の朝のしめりだ。
 智恵子は遠くを見ながら言ふ。
 阿多多羅山の山の上に
 毎日出てゐる青い空が
 智恵子のほんとの空だといふ。
 あどけない話である。

 『智恵子抄』(高村光太郎著)より「あどけない話」

智恵子の生家の裏山に登り、安達太良山を望みましたが、あいにく雲がかかり、智恵子の"ほんとの空"を見ることはできませんでた。
生家と智恵子記念館を訪ねた後は、智恵子が病気になってから、光太郎と湯治に訪れた土湯温泉の不動湯へ行き、当時のままの部屋や宿帳を見せていただいきました。
"レモン忌"と名付けられた智恵子の忌日は10月5日、間もなくです。

高村光太郎と智恵子の"恋ものがたり"・・・読売新聞大阪本社版(9月23日掲載)でお楽しみください!
 
写真:(上)知恵子の生家 (下左)知恵子の杜 (下右)安達太良山

2008年09月09日

風の盆

富山の八尾へ、長年憧れていた「風の盆」を見に行ってきました。
胡弓と三味線に合わせておわら節が唄われる中、各町ごとに連を組んだ踊子たちが静かに町中をながします。
踊りは明け方まで続き、風の盆の期間中八尾は眠らない町になります。
実は同じ日に、俳句仲間の坂東三津五郎さんも「風の盆」に来ていて、偶然にも行きの飛行機から一緒でした!
三津五郎さんは、二十年も「風の盆」に通っているそうです。

今回は私が初めてだったので、三津五郎さんが八尾の隅々まで案内してくれました♪
さて、夕食後はみな着物や浴衣に着替えていざ町へ!輪踊に入って、踊も体験♪♪
深夜になってからは、ながしの踊をさがして人ごみを避けて路地から路地へ・・・裏道に出ると途端にひと気がなくなり、おわら節の替わりに、虫の声や水音が聞こえてきました。また稲穂や葛の花が闇に匂っていました。
二日目は一日中雨でしたが、雨が止むのを待ちながら、宿で一晩中「しりとり」をして盛り上がりました!
(ちなみに三津五郎チームは「UNO」で盛り上がっていたそうです。)
「風の盆」はいわゆるお盆の行事と厄日の行事が一つになったものだとか。幻想的で美しいこの祭に、多くの人が惹きつけられ、毎年通うのがわかる気がしました。

 ぬばたまの闇から闇へ風の盆    まどか


写真:(上)町を彩るぼんぼり(中左)八尾の人は踊りだけでなく三味線も胡弓も玄人跣!(中右)三津五郎さんと昼のツーショット(諏訪町にて)(下左)夜のツーショット(鏡町にて)(下右)夜はみんなで着物に着替えて・・・日本人に生れてよかったぁ!


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